農薬や添加物に反対する「クランチー・マム」のヒーローに

 ケネディ氏の高い人気の背景にあるのが「クランチー・マム」の存在だ。メディアも「ケネディ氏はクランチー・マムのヒーロー」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)、「クランチー・マムはケネディ氏を最も熱心に支持するグループの一つ」(ニューズウィーク誌)などと報じている。

 クランチー・マムは、直訳すれば「自然志向のママ」。自然や先人の知恵を重んじるライフスタイルを実践し、それを子育てにも取り入れている母親たちを指す。

 例えば、食べ物に関しては農薬や化学肥料を使わない昔ながらの有機農産物を選んだり、フードテックを駆使した超加工食品を避けたりする。また、現代医学や現代科学に全幅の信頼を置くことはせず、そのためワクチン否定派も多い。子育ては親の責務との信念から、子どもを学校に通わせずホームスクールを選択する人もいる。

 そんなクランチー・マムの一人が、農薬の使用や遺伝子組み換え食品などに反対する母親らでつくる非営利組織「マムズ・アクロス・アメリカ」のゼン・ハニーカット代表だ。もともと民主党員だったが、民主党の政策に失望し、昨年の大統領選では無党派としてケネディ氏を応援。一時は、ケネディ氏に請われて保健福祉省の職員に政治任用されるのではないかとのうわさも立った。

 ハニーカット氏は筆者の取材に「農薬や有害な食品添加物、遺伝子組み換え食品を食卓からなかなか追放できないのは、保健福祉省が大企業に支配され腐敗しているから」と断言。問題解決の唯一の方法は大企業の影響を受けていない人たちを政府内に送り込むことだと述べた。

 ワクチンに関しても、子どもの接種は親の判断に任せるべきで政府が強制すべきではないと訴える。同氏の目には、ワクチンも農薬や食品添加物と同様、人体への長期的な影響を含む安全性が十分に証明されていないのに、大企業からの圧力で当局が安易に認可したと映る。