大企業でも忘れる、あの所得控除
中山:年収から差し引ける「所得控除」の一つです。年収850万円超の給与所得者を対象に、扶養義務内の23歳未満のお子さんがいる場合、最大15万円差し引いて、税額を計算できます(編集部注:このほか、本人が特別障害者、給与所得と年金所得の双方がある場合などにも適用されうる)。
所得控除制度の整理統合の一環で2020年に新設されたのですが、周知が進んでいないのか、大企業でも適用せずに源泉徴収票を作成しているケースが見受けられました。
——会社が所得金額調整控除をしていない場合、どうなりますか。
中山:年収2000万円で所得金額調整控除を適用した場合、15万円を年収から差し引いて税額を計算できます。年収2000万円だと、多くの納税者は、扶養控除や給与所得控除などの額を差し引いた後、課税される所得金額は900万~1799万円のゾーンと推計されます。
このゾーンの所得税率は33%。さらに住民税所得割(所得に応じて課される部分)として10%がかかります。つまり合計で税率は43%になります。15万円を差し引かずに税金を課される場合、15万円×43%=6万4500円の税金を余計に払うことになります。

——6万円の過剰払いは大きいですね。
中山:当法人で、確定申告の書類を作成する際に源泉徴収票の誤りに気づき、所得金額調整控除を適用し直し、過剰払い分が還付されたケースがいくつかありました。
——税理士による好プレーですね。ほかに、確定申告が必要な年収2000万円超の給与所得者ならではの注意点はありますか。