年収2000万円超の会社員からの税務相談が増えている(写真:umaruchan4678/Shutterstock.com)

所得税の確定申告が3月に終わったが、これから夏を迎え、税務調査のシーズンが始まる。サラリーマン(給与所得者)を中心に今年1800件の確定申告を代行し、2024年事務年度(2024年7月~2025年6月)には30件の税務調査に立ち会ったトランス税理士法人の中山慎吾代表税理士に、今シーズンの確定申告や税務調査での珍プレー・好プレーを聞いた。2回に分けてお届けする。前編は、知られざる年収2000万円超の確定申告の悩みとは。(種市 房子:ライター)

>>後編:税務調査のカモにされるサラリーマン!調査官に課せられた3つノルマとは…マッサージは医療費控除の対象にできる?

「年収2000万円超」の税務相談の中身

——中山さんが運営する税理士法人は「サラリーマンの税金・お金のお悩み解決」を掲げています。でも、普通のサラリーマンは会社が給与から税金を差し引くので節税とは無縁です。どんなサラリーマンが中山さんに助けを求めてくるのですか。

中山慎吾氏(以下敬称略):確定申告が必要な年収2000万円超の会社員、中でも商社や外資系金融機関の会社員が多いです。今年3月17日が期限だった2024年分の所得税確定申告では、会社員を中心に約1800人分作成しました。近年の企業業績の好調ぶりで、年収が2000万円に達して確定申告が義務になった人が増えていること、税制が複雑になったことから、当法人への依頼は増えています。

中山 慎吾(なかやま・しんご) トランス税理士法人 代表税理士 1978年生まれ。税理士。2018年、明治大学大学院グローバルビジネス研究科修了、経営学修士(MBA)取得。CFP、1級FP技能士、宅地建物取引士、管理業務主任者の資格も保有

——年収2000万円超えですか…具体的にはどんな相談が多いのですか。

中山:顧客の源泉徴収票を見ると、本来するべき所得控除がされていなかったケースが大企業でも見受けられました。もっとも多く見受けられたのは「所得金額調整控除」の処理ミスです。単純計算によると、年収2000万円の方ならば6万円あまり税金を多く払ってしまうことになります。

——大企業でもちゃんとできていないケースがあるんですか。サラリーマンも気をつけないといけないですね。それで、所得金額調整控除とは何でしょうか。