日本人2位の佐藤は「次は日本記録を狙いたい」

金栗記念選抜陸上中長距離大会 、男子5000m決勝で2位の佐藤圭汰 写真/西村尚己/アフロスポーツ

 グランプリ5000mはアジア選手権の代表選考会を兼ねており、優勝した森凪也(Honda)に続き、日本人2位の佐藤圭汰(駒大)も日本代表が有力になった。しかし、佐藤はまったく納得していない。

「スプリント勝負は分が悪いので、ロングスパートをかけていきたいなと思っていました。2000m過ぎに少しペースが落ちたので、ある程度は自分で上げられたんですけど、負けては意味がありません。昨年は『The TEN』が終わってから一回もトラックレースに出られなくて、本当に悔しい思いをしました。アジア選手権の前に海外レースに行く予定もあるので、そこで日本記録を出したいです」

 佐藤は昨年1月に5000mで13分09秒45の室内日本記録を樹立。3月に10000mで27分34秒66のセカンドベストをマークした。しかし、その後は恥骨の疲労骨折などがあり、レースから遠ざかった。それでも今年の箱根駅伝7区を区間新記録で爆走。3月の米国・アルバカーキ合宿でも順調にトレーニングを積み上げて、「昨年より力は絶対についているなという感じはあります」と5000mの日本記録(13分08秒40)の更新に意欲十分だ。

 駒大・大八木弘明総監督によると、佐藤は5月3日のダイヤモンドリーグ上海大会5000mに参戦する予定があり、「圭汰は3000mから自分で行きましたし、本当に成長したなと感じました。常に日本記録を狙うつもりでいると思います」と“大記録”の予感が漂っている。

 その大八木監督が率いるGgoatの選手では、実業団デビューとなった篠原倖太朗(富士通)が13分25秒30で4着(全体18位)。田澤廉(トヨタ自動車)は3600m付近までトップ集団でレースを進めて、13分34秒12の9着(全体28位)に入っている。

 篠原は2月の丸亀国際ハーフマラソンで59分30秒(日本歴代2位)の日本学生記録を樹立。トラックでもまずまずのスタートを切った。一方の田澤は久しぶりのレースを走って、笑顔を見せていた。

「昨季はケガもあり、コンディションが良くないままシーズンを過ごしました。今年も2月までは練習が全然積めていなくて、アルバカーキ合宿でやっと圭汰たちにつけるかつけないかくらいの練習がやれたんです。今回は勝負というよりも、レース感覚をつかむために出場しました。その目的は達成できたかなと思います」

 オレゴンとブダペストの世界陸上10000mに出場している田澤。世界の実力を知る男は、10000mで「26分台」を目指している。そのために今季は5000mで「12分台」を視野にスピードを磨くプランを持つが、冷静に自分を見つめている。

「次はゴールデンゲームズ(5月4日)を予定していたんですけど、練習を積みたいと思うので、ちょっとわからないですね。まだ12分台は無理なので、東京世界陸上を狙っていくのか、冬に結果を残して今後につなげていくのか。ちょっと考えたいと思います」

 9月に国内で開催される東京世界陸上の代表枠は各種目1カ国最大3名。各種目にターゲットナンバー(出場枠)が設けられており、有効期間内に参加標準記録を突破するか、ワールドランキング(Road to Tokyo)においてターゲットナンバー内に入ることで、出場資格を得られる。また出場資格者がいない種目は「開催国枠」(エントリー設定記録を突破した1名)がある。大舞台を目指す選手たちの“熱い戦い”が始まった。