報じられている情報はこれだけですが、これ以外にも各種の動きがとられたことは間違いありません。また、演習状況内での時間経過は、かなり短いものだった可能性が高そうです。時間経過が長ければ、与那国島の中国兵排除なども演習内で演練されたでしょう。
なお、誤解のないように、想定と現実が乖離する可能性について先に指摘しておきます。
キーン・エッジは、米軍と自衛隊、あるいはアメリカ国防総省と防衛省が実施するものです(今回に関しては豪軍も参加)。政府レベル、つまりトランプ政権が本当に台湾有事で関与するのか否か、石破政権が存立危機事態を認定するのかという点については、演習のために仮定したに過ぎません。
現在のトランプ政権を見れば、従来のアメリカの姿勢がそのまま適用されると考えることは極めて危険だと言わざるを得ないでしょう。
石破政権も、総理が自民党内では野党寄り姿勢だったことを鑑みれば、集団的自衛権を行使し、台湾危機に関与する可能性は、むしろ低いと思えます。
日米双方の場合は言うに及ばず、片方だけでも政治判断が異なれば、実際に生起する危機は、この演習とは全く違うものになるでしょう。
自衛隊機の攻撃目標~なぜ空母ではなかったのか
次に、ミリタリーマニアが注目していた点、中国の空母ではなく、輸送艦を優先目標として攻撃した点について解説したいと思います。これは、軍事関係者からすれば当然の行動でした。
空母は、侵攻する中国艦隊の防空を担っていると思われますが、恐らく台湾海峡ではなく若干前進して台湾の南北に防空エリアを広げる働きをしていたと思われます。自衛隊側が攻撃を考慮した点を考えると、台湾の北側に空母機動部隊が出ていた可能性が高いでしょう。