写真提供:山陽新聞/共同通信イメージズ

 物流効率化法が2025年度に施行され、第一種荷主には積載効率向上や荷待ち短縮に加え、パレットなど荷役を効率化するための輸送用器具の利用確保が努力義務として課された。背景には手作業による積み下ろしの長時間化や非効率があり、政府は11型パレットの普及拡大を通じた一貫パレチゼーションを促す。今回と次回は、標準仕様パレット選定の経緯や日本産業規格(JIS)制定の裏側、普及に向けた論点を、物流史の歩みとともに追う。

「パレットその他で荷役効率化」が荷主の努力義務に

 前回も取り上げた「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」(2025年度施行、以下「物効法」)で、第一種荷主(主に発荷主)と第二種荷主(主に着荷主)の努力義務として、①積載効率の向上等②荷待ち時間の短縮③荷役等時間の短縮――という<3大義務>が課された。まさに物効法のキモなのだが、うち第一種荷主の「③荷役等時間の短縮」の説明には、こうある。

「トラックドライバーに荷役等を行わせる場合にあっては、パレットその他の荷役の効率化に資する輸送用器具をトラックドライバーが利用できるようにする措置…」
(下線は筆者、国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイトより)

 パレット類の活用が努力義務として明示されたのである。すでに2024年、官民物流標準化懇談会の「パレット標準化推進分科会最終とりまとめ」において、平面寸法1100×1100ミリの11型パレットを「標準仕様パレット」と位置付け、パレット生産量に占める11型の比率を、2022年の26%から2030年には50%以上に高める目標が打ち出されていた。

 特に企業が新たにパレットを導入する場合、11型の採用が強く推奨されている(本稿では以後も、規格名称を除き平パレットを「パレット」と記載する)。