複数のペアが世界選手権に出場するに至った理由

 ペアの数が少ない理由として、さまざまあげられてきた。ペアは練習でスペースをとるため、限られたリンク数しかない日本では練習場所の確保がままならない、指導者が不足している等々。そのため充実した環境のある海外に拠点を求めるケースも多い。そうなると活動資金という問題に直面する。

 競技環境という課題に加え、「モデル」がなかったのも否めない。フィギュアスケ―トに限らず、子どもが「やりたい」となるのは選手の姿に憧れることであったりする。フィギュアスケートをやりたいとなったとき、どうしても活躍する選手が目立つのはシングルだ。ペアを積極的に始めようとする選手も、だから少なかった。

 その中で、三浦・木原組がペアの歴史を次々に塗り替える活躍をみせてきた。世界一にもなった。ペアの認知度は、彼らの活躍とともに飛躍的に高まった。

 オリンピックで団体戦が採用されたのを機に、ペアも強化を図る動きがみられるようになったが、その流れとともに、三浦・木原組の存在はペアの位置を大きく変えた。近年は新たなペアも誕生してきて、その中でついに、複数のペアが世界選手権に出場するに至った。

 長岡・森口組はショートプログラムで22位、上位20組までに限られるフリー進出はならなかった。

 ツイストリフトの難度をあげるなどより高いレベルを目指したがミスが出て奏功しなかった。

「ミスをそのまま引きずってしまいました」

 長岡が悔やむ一方、森口はこう語っている。

「こけたから悪いじゃなく、ツイストに関しては一歩進んでいるなと思います」

 大舞台に立った経験は、彼らの糧となり得る。

 2人に対し、木原は励ましの言葉をおくった。

「ペアはほんとうに難しいスポーツで、1日、2日でうまくいくことはないです、彼らは素晴らしい能力を持っているチームなので、今回はうまくいかなったかもしれないですけど、必ず明るい未来が来ると思っています。決してあきらめず、一緒に頑張って行けたらと思います」

 三浦・木原組が2年ぶり2度目の優勝を果たした世界選手権は、日本のペアのこれからという点でもう一つ、意味深い大会だった。