第5部 ウクライナ戦況概観
ロシア軍が2022年2月24日にウクライナに全面侵攻開始してからこの記事を執筆中の3月21日でプーチンのウクライナ侵略戦争は1122日目となり、戦争は既に4年目に突入しています。
一方、米国では今年1月20日に第2次トランプ政権が誕生。とうとうトランプ新大統領による本格的なウクライナ戦争停戦交渉が始まりました。
ロシアは今年5月9日、対独戦勝記念80周年記念軍事パレードを挙行します。露プーチン大統領は5月9日までにウクライナ戦争に勝利して、プーチン大統領・習近平国家主席・金正恩総書記の3人が「赤の広場」の雛壇に並び、軍事パレードを閲兵する姿を夢想していることでしょう。
しかし、プーチン大統領の筋書き通りにことが運ぶ保証は何もありません。
ロシア近・現代史においてロシアが負けた戦争は2つあります。クリミア戦争(1853~56年)とソ連・アフガン戦争(1979年12月~99年2月)です。
この2つの敗戦に共通している点は開戦者と終戦(敗戦)者が異なることです。
クリミア戦争は皇帝ニコライ1世が開戦、皇帝アレクサンドル2世が終戦(敗戦)。
アフガン戦争はブレジネフ書記長が開戦、ゴルバチョフ書記長が終戦(敗戦)。
この史実から演繹されることは、プーチン・ゼレンスキー両氏がいる限り終戦の形は見えてこないと云うことになります。第三国からの停戦交渉圧力以外、戦争当事国の指導者は敗戦を認めないでしょう。
現状の戦闘最前線を停戦ラインとする案は誰でも考え付く安易な案にて、これを認めれば19世紀の帝国主義的戦争思想が21世紀に開花することになります。ゆえに、この案は実現しないと考えます。
筆者が一番合理的と考える停戦の姿は下記の通りです:
●ウクライナはクリミア半島をロシアに返還する。(←元々ソ連邦ロシア共和国の行政管轄地域)
●ロシアはウクライナ東南部4州から撤退する。
ここで、ウクライナ戦況を概観します。3月21日朝のウクライナ参謀本部発表によれば、ロシア軍が全面侵攻した2022年2月24日から本日3月21日朝までの露軍累計損害は以下の通りです。
もちろん、新規に生産、あるいは修理している兵器もあるので、あくまでも一つの参考情報として記載する次第です。

ちなみに、露軍戦死傷者には2022年9月に新たに徴兵・動員され戦場に投入された30万人も既に含まれているので、露軍総兵力を115万人と仮定すれば戦死傷者比率は78.3%になります。
なお、西側発表によれば、露軍戦死者数は20万人以上と推測されています。