次々と関税を発動するトランプ大統領

価格高騰で「ワイン離れ」さらに加速か

 もっと懸念されるのは中長期的な影響だ。

 実は今、米国を含む世界のワイン業界は消費者のワイン離れという、未曾有の大問題に直面している。カリフォルニア州のシリコンバレー銀行がまとめた「米国のワイン業界の現状2025」は、「ワイン市場は約30年ぶりに需要が減退し、大きな修正局面を迎えている」と指摘、消費者のワイン離れは今年も止まらないと予測している。これは世界共通の現象だとも付け加えている。

 ワイン離れの原因は、消費者が健康志向を強めていることやアルコール飲料が多様化してきたことなどいくつかあるが、いずれにせよ、ワインの価格が大幅に上がればワイン離れが加速することは容易に想像がつく。他国のワイン業界にとっても対岸の火事ではない。

 そうなれば、影響はワイン業界にとどまらず、ワインを扱うレストランなど外食業界や小売業界にもコスト高要因となって及ぶことは必至だ。とりわけレストラン業界はコロナ禍の影響から完全に立ち直っていないだけに、ワインの仕入れ価格の上昇や顧客のワイン離れは死活問題になりかねない。雇用にも少なからぬ影響を与えるだろう。

 はたしてトランプ大統領は、そうした米経済への広範な影響を考えた上で200%課税発言をしたのだろうか。