日本をドジャーブルーに染めた「大谷凱旋」、米メディアはどう見たか
トランプ関税攻撃で赤信号が点滅し始めた日米関係がMLBに及ぼす影響は
2025.3.19(水)
高濱 賛
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日本にとってのプランAとプランB
ロイター通信の東京特派員として日本の政治経済を報道してきたリンダ・シーグ氏は、3月13日の「Nikkei Asia」でこう言い切っている。
「国際社会における同盟関係で揺さぶられる日本に赤信号が点滅し始めた」
「日本にとってのAプランは、米国からの武器を買い、防衛力を強化し、北東アジアのパートナーとの絆を強めた上で中国との対話の堅持を図ることだ」
「これがうまくいかない場合のBプランは、非核三原則を段階的に放棄し、核武装することだ」
「コンサルティング会社『Foresight』のトビアス・ハリス氏は、『(日本政府部内では)核武装について非常に密やかに協議が行われている』と指摘している」
(Japan on red alert as Trump rocks international alliances - Nikkei Asia)
ドジャース、東京シリーズで100億円の収益?
「大谷凱旋」でドジャースは約50億円から約100億円の収益を上げるとの予測もある。これは入場料、グッズ、広告料すべてを入れた額だという。
(Dodgers anticipate 235 billion won revenue from Tokyo Series against Cubs - CHOSUNBIZ)
トランプ氏は、USスチール買収を退け、日本製鉄による投資案を打ち出した。
主要メディアの経済コラムニストは、ひとひねりした論考をしている。
「米国人のUSスチールに対する誇りを守りつつ、日本にはカネを出させ、事実上の買収を許した」
「その伝で行けば、ドジャースは大谷・山本・佐々木トリオを獲得して、日本から投資資金を出させたのだ」
「日本人のスター選手がドジャースを乗っ取ったように見えるが、日本がドジャースを買収したわけではない」
「それによって、ドジャースは日米のマーケットから巨額の利益を得る」
「何よりも日本のスーパースターがMLBの舞台で活躍していることを日本人が誇りに思っているところが、この商法のインビジブルな(目に見えぬ)決め手になっている」
「東京での開幕戦はそれを露骨にやってのけた実例だ。ただこれは日米関係が良い関係にあるから成り立つ商法だ」
「トランプ政権が今後、強引な対日外交をやり出せば、ドジャース商法も安泰ではない」
「カナダのように観衆からブーイングが発されるだろうし、反米デモに見舞われるかもしれない」
「大谷凱旋」に酔いしれた日本のファン(筆者自身日本にいればその一人となるのは確実だが)の狂騒劇。
その模様を米国から見た「蚯蚓(みみず)のたわごと」である。
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