読売巨人軍との練習試合で豪快な2ランを放った大谷翔平選手(3月15日東京ドームで、写真:Creative 2/アフロ)

名実ともに近くなったドジャースと日本

 大谷翔平選手が所属するロサンゼルス・ドジャースの開幕戦、「東京シリーズ」の盛り上がりを米国の人たちはどう見たか――。

 ロサンゼルス・ドジャースの選手たちだけでなく同伴の奥さんたちが日本食や日本文化に感激し、すっかりハマったと、繰り返し配信する米国人の動画ライブ配信者(ライバー)もいた。

 新聞やテレビも東京ドームに詰めかけるファンの熱狂ぶりを報じている。

 それだけでは物足りないと見たのか、そうした現象を米メディアはどう報じているかを扱うSNSも多い。

 だが、一言いわせていただければ、騒いでいるのはロサンゼルス・タイムズとドジャース専門局の地元テレビ、MLBナショナルリーグ西部版テレビだけだ。

 東部や南部中西部のメディアは、シーズン開始間近の地元チームのオープン戦での選手の成績やチーム状況を淡々と報じ、傍ら、MLB開幕の口火を切る東京でのドジャース・カブス戦の報道をしていた。

(あくまでもMLB30チームが繰り広げる開幕戦15試合の一つとして、である)

MLBカードの売れ行き増加を喜ぶ

 開幕戦の相手チーム、シカゴ・カブスの地元紙、シカゴ・トリビューンは、ドジャーブルーを避け、カブス選手の写真を大量に載せて、こう報じた。

「拍手、ラッパ、鐘、太鼓の耳障りな音(Cacophony)がジュリアン・メリーウエザー投手を悩ませた」

「それでもカブス対ドジャースの開幕戦は、着実に増えている日本のMLB のベースボールカード・コレクション数をいやが上にも急増させた」

「大谷は、着実に燃え広がっている日本のMLB市場にガソリンを注いだ格好だ」

Tokyo Series: How Topps expanding trading-card footprint in Japan (chicagotribune.com)

Photos: Cubs and Dodgers practice at Tokyo Dome (chicagotribune.com

日本をブルーに塗りつぶした

 実力、伝統、人気度、収益では「球界の帝王」を誇るニューヨーク・ヤンキース1の地元紙、ニューヨーク・タイムズはこう書いた。

 日本の熱狂的な大谷ファンのお祭り騒ぎぶりには驚きつつも、商売敵(がたき)ドジャースの日本市場へ進出に苦虫をつぶしたような記事だ。

*1=MLBのチームの中で最も収益を上げているのはヤンキースで2024年は75億ドル、2位はドジャースは54億ドル、3位はボストン・レッドソックスで45億ドル。

「大谷翔平は東京ドームでの練習試合でホームランを打った。ドジャースは日本をドジャーブルーで塗りつぶそうとしてきた」

「大谷のパワーは比較にならない。ドジャースは『Sho-economics』(ショー・エコノミクス)の果実を手にした」

「ドジャースのアンドリュー・フリードマン社長は日本をドジャーブルーで塗りつぶすことを企み、そして今、自分の目でそれが実現したことを確かめている」

「デーブ・ロバート監督は『Our mission was completed』(我々の任務は達成された)と満足げだ」

The Dodgers wanted to ‘paint Japan Dodger blue.’ Now they’re witnessing it in person - The Athletic