蔦重と日光旅行に

 ドラマでは今のところ、良好とは言い難い関係の鶴屋喜右衛門と蔦屋重三郎だが、二人は手を組み、戯作者で浮世絵師の古川雄大が演じる山東京伝(さんとうきょうでん/画名は北尾政演)の囲い込みを図ったとされる。

 曲亭馬琴(『南総里見八犬伝』の作者)による山東京伝の伝記『伊波伝毛乃記』には、「天明(1781~1789)の末に、書肆蔦屋重三郎、鶴屋喜右衛門等とともに、日光御宮並に中禅寺に参詣せしことあり」と、蔦屋重三郎、鶴屋喜右衛門等ともに、日光に参詣したことが綴られている。

 また、寛政4年(1792)、山東京伝の煙草入れ店の開店資金集めの書画会(御祝儀を貰い、色紙や短冊に、絵や狂歌を書くイベント)でも、「是日、書肆鶴屋、蔦屋、酒食の東道したりき」と、蔦屋重三郎と鶴屋喜右衛門が、客の酒食などの費用を拠出したことも記されている。