須原屋市兵衛は、江戸の代表的な書物問屋で江戸一の大書商と称される須原屋茂兵衛(すはらやもへえ)の分家にあたり、申椒堂(しんしょうどう)を号した。 生年は不詳だ。 須原屋市兵衛は、当時の最先端の知識である蘭学に深く共鳴し、蘭方医、蘭学者の杉田玄白、蘭学者で戯作者の森島中良(平賀源内の弟子)、安田顕が演じる平賀源内らの著作を、いち早く出版した。 平賀源内の著作に強く執心したとされ、源内の代表作『物類品隲』、『火浣布略説』、『神霊矢口渡』を刊行。さらに、『根なし草』、『風流志道軒伝』の版権を、他店から買い取っている(今田洋三『江戸の本屋さん』)。 須原屋市兵衛は、杉田玄白らによる日本最初となる本格的