スケーターの中から引き出すこと

 振付作業はどのように進めるのか。一端を明かす。

「曲はけっこう私が選ぶことが多いです。『しっとり系がいい』『楽しい系がいい』とイメージを教えていただいて、その中で選びます。編集は自分でするときも相手側でするときもあります。まずは頭の中でそのスケーターが滑っている想像から始まります。どのエレメンツを入れたいか、どの順番がいいか、競技のプログラムだと、ジャンプの順番もあるので、まずそこはしっかり聞いて進めます。陸で自分で動いてみたり、いろいろなダンス動画を観たり、そしてスケーターに動いてもらいます。とにかくいろいろ動いてもらいます。

 腕の使い方がきれいなスケーターはそこをいかすとか、手足の長い人は手足を長く見せるとか、それぞれスケーターの個性があるので、そこを自分なりに探していかすようにしています。かおちゃんのときは、まずこれまでのプログラムをいろいろ観て、癖を探したりしました。パワフル感とかスピード感はかおちゃんの武器じゃないですか。そこをしっかり入れることを考えました」

 数々の依頼を受けるに至ったのは、友野の例のように披露された作品への評価であり、少なからずいる振付師の中から頼むのは村元ならではのカラーを振り付けたプログラムに感じるからだったろう。

「何人かは『これ、哉中ちゃんの振り付けらしいな』と言ってくれたんですけど、私はまだ分かってないです。(自分のカラーを)探っているんですけどね。なんなんですかね」

 こだわるポイントはある。

「基本、私は音とかビートとか歌詞とかを表現するのをメインにしています。それとけっこう細かい音はめをして、ステップもこだわりを持つ、全部の音を外さないというのは意識しています。あとは若干、どんなジャンルでもセクシーさを出すというのはもしかしたらあるかもしれません」

 大切にしたいのは「振り付けをしているスケーターの中から引き出すこと」。

「振り付けをして、ベースができた上でスケーターが持つ感情を出してくれるといい味になります。ベースでいい作品をつくって、スケーターの武器を最大に引き出せればと思っています」

 そのためにも進化を誓う。

「ジャズだったりコンテンポラリーだったり、ダンスもいろいろあるので、引き出しを増やしておかないと、と思っています。さあ、振り付けとなっても出てこないので、自分もアップデートしていかないと」

 そしてこう語る。

「まずはいろいろな作品をつくりたいです。もちろんオリンピックプログラムを将来つくりたいというのもあるし、何よりも現役のとき、記憶に残るプログラムを滑ることを大事にしてきたので、何年経っても『よかったね』というプログラムをつくりたいです。記憶に残る演技、作品をつくりたいという軸はぶれないようにしたいです」

 いつか、そうした作品を世に送り出す日を。振付師として一歩を記した村元哉中は、未来を見据える。

 

「滑走屋」開催概要

出演者
高橋大輔、村元哉中、村上佳菜子
友野一希、島田高志郎、三宅星南、青木祐奈
大島光翔、櫛田一樹、門脇慧丞、木科雄登、佐々木晴也、北村凌大、松岡隼矢、菊地竜生、矢島司、戸田晴登、大中惟吹、大久保政宗、中西樹希、三宅咲綺、江川マリア、奥野友莉菜、岩野桃亜、櫛田育良、竹野比奈

振付
鈴木ゆま

開催日
2025/3/8(土)
【開場】10:00【開演】11:00
【開場】13:30【開演】14:30
【開場】17:00【開演】18:00
2025/3/9(日)
【開場】10:00【開演】11:00
【開場】13:30【開演】14:30
【開場】17:00【開演】18:00

会場
ひろしんビッグウェーブ
広島市東区牛田新町一丁目8番3号

*チケット情報は以下のサイトをご確認ください
滑走屋公式サイト:https://kassouya.jp
滑走屋公式チケット:https://cocoticket.com
滑走屋公式インスタグラム:@kassouya_official
滑走屋公式X: @Kassouya