とにかく遅い国会の対応
こうした課題に対し、冒頭紹介した公職選挙法改正案は、どのように対応しようとしているのでしょうか。

当該公選法改正の動きについて、昨年末には産経新聞が「違法選挙動画で金もうけダメ/収益支払い停止、自民がSNS対策で法改正検討」(2024.12.28)と報じ注目を集めました。
ですが、各党協議会の論点メモには、「情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に名誉侵害情報等の削除に係るプロバイダの免責規定があるところ、収益支払いについて同様の規定を設けてはどうか」 等と意見として紹介されているにとどまっています。
また、他候補の当選を目的に立候補する、いわゆる「2馬力選挙」といった問題についても、2月17日には、鳥取県の平井伸治知事ら19府県の知事有志が「限られた選挙運動期間に十分な政策論争を行い、有権者の判断を仰ぐことに支障が生じていることに強い憤りを禁じ得ない」「(政府と国会には)抜本的な対策をスピード感を持って講じてほしい」とする緊急声明『民主主義と地方自治を守るための緊急アピール』をとりまとめました。
しかしながら、国会の各党協議会を経て国会に提出された公選法改正案においては、附則に検討条項として、「選挙に関するインターネット等の利用の状況、公職の候補者間の公平の確保の状況その他の最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」と、期限もなく抽象的に書き込むのが精一杯というのが国会の現状なのです。