難民認定は「狭き門」

 こうした結果、制度導入から2021年まで難民認定の申請者は9万1664人に上りました。このうち難民と認定された者は1117人。認定されなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認められた者は5049人でした。申請者数に対し、認定者の割合は1.2%に過ぎません。

 出入国在留管理庁によると、この傾向は現在も変わっていないようです。直近の2023年実績を見ると、年間の難民申請者は1万3823人。これに対し、難民認定されたのは2.1%、303人でした。こうした狭き門のため、難民に関する日本の態度は国際的に「冷たい」「消極的」と評価されてきたのです。

 このほか、難民の受け入れに関しては「第三国定住」と呼ばれる方法もあります。これは、難民キャンプなどで一時的な庇護を受けている難民を、新たに受け入れに合意した第三国へ移動させ、移動先の第三国において長期的な滞在の権利などを与える仕組みです。

 ただ、第三国定住の運用は極めて限定的で、2020年以降はすでに日本で難民認定を受けた者の親族しか受け入れていません。その数も年間60人以内とされています。

 日本で難民認定を受けた人は、原則として国民健康保険への加入資格や、条件を満たす場合は国民年金、児童扶養手当などの受給資格を得ることができ、日本国民と同じ程度の待遇を受けることができます。必要があれば自治体を通じて福祉支援を受けることもできます。