「難民」とはどのように定義されている?
難民は「難民の地位に関する国際条約(難民条約)」の第1条に定義されています。それによると、難民とは「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた」人々のことを指します。
また、紛争などによって住み慣れた家を追われたものの、国境を越えずに避難生活を送っている人々は「国内避難民」と呼ばれています。
国連難民高等弁務官事務所(Office of the United Nations High Commissioner for Refugees=UNHCR)の資料によると、2024年5月現在、迫害や紛争、暴力、人権侵害、気候変動などによって故郷を追われた人は、世界で実に約1億2000万人に達しました。日本の総人口に匹敵する規模です。
このうち、UNHCRが「国際的に保護を必要とする人=難民」としているのは約4340万人。さらに、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の支援対象者は約600万人に達しました。
難民の出身国はアフガニスタン(640万人)、シリア(同)、ベネズエラ(610万人)、ウクライナ(600万人)、南スーダン(230万人)の上位5カ国で全体の7割を占めています。受入国では周辺国が多く、イランやトルコ、コロンビア、ドイツ、パキスタンが上位。一方で故郷に帰還できた人はわずか610万人で、第三国に定住した人はさらに少ない15万人余りに過ぎません。