5ドア化に「違和感なし」
ボディ寸法は、全長3890mm×全幅1645mm×全高1725mm、ホイールベースは2590mm。「ジムニー シエラ」と比べて、ホイールベースを340mm伸ばした分だけ全長も伸びている。そのうち、50mmを後席のレッグスペースに振り分け、残りの290mmを荷室に使った。
最小回転半径は、5.7mとジムニー シエラより0.8m大きい。

エクステリア担当デザイナーは「ジムニーシエラに対して、最初はBピラー後方のデザイン修正を考えた。だが、ボディサイドから後方への(ボディ面の)『絞り』が納得いかず、結果的にAピラーから後方を新規設計した」と5ドア化の難しさを指摘する。
Bピラーとは前席と後席の中間にあるボディの柱のことで、Aピラーはフロントガラスを組み込んだ斜めになっているボディの柱である。
確かに、ジムニーシエラのデザインは、実にバランスが良い。そのため、メディア各社が事前に記事化した5ドアモデルのCG予想図は、リムジンのようなアンバランスさを感じさせるものだった。
だが、ジムニー ノマドは、5ドアデザインとして全く新しいクルマであるからこそ、実車を見て違和感がなかった。
この違和感があるかないかが、5ドア化のキモである。

スズキ関係者によれば、2018年7月の現行シリーズ発表時点では、5ドアの社内プロジェクトは正式に立ち上がっていなかったという。
3ドア発売後、ユーザーや販売店から5ドアに対する要望が徐々に増えていったため、東京オートサロンでピックアップトラックなど様々なコンセプトモデルを出展して市場調査を行い、最終的に5ドア化にGOが出たという経緯だ。
車両に乗り込むと、ダッシュボード周辺やMTシフト、ペダル類などは見慣れた3ドア車と共通だ。

後席に座ってみると、前述のようにジムニー シエラに比べてレッグスペースは50mm増え、またヒップポイントが20mm高くなったことで前方への視認性が高まっている。また、ヘッドクリアランスは水平方向に71mm、また垂直方向に15mmそれぞれ減少しているが、左右乗車員の距離は90mm伸びている。
座ってみると「これなら長時間ドライブでも疲れが少ない」と実感した。
今度はリアドアを開けて、荷室を見てみよう。