ケロッグ特使の人物像と考え方

 トランプは2024年11月の大統領選から3週間ほど経た後に、米陸軍退役中将のK.ケロッグをウクライナ紛争終結に向けた特使に任命した。

 そして年が明けた1月に入ってから、トランプはそのケロッグに100日以内に戦争終結を実現させる課題を与えた、と述べている。

 齢80のケロッグは、軍を退役した後の2016年に当時大統領選に立候補していたトランプの陣営に加わり、その第1期政権では副大統領の安全保障担当補佐官を務めた。

 バイデン政権時代は下野して政策研究所に勤務し、その間にロシア・ウクライナ紛争への終結案を共著者とともに取りまとめた。

 2024年4月にその内容が公表され、6月には当時大統領選に出馬を決めていたトランプへその内容説明を行う機会を得ている。

 その彼の紛争終結案骨子は以下であり、前述のウクライナ・メディアが報じた内容と基本的にほぼ一致していることが分かる。

・ロシア・ウクライナ双方を、ともかく和平交渉の席につかせる。

・ロシアがその交渉を拒めば米国は対ウクライナ軍事援助を増やし、ウクライナが拒むなら軍事援助を削減する。

・ウクライナのNATO加盟は長期にわたって延期。

・ウクライナはロシアの占領地域への実効支配を認める、しかし正式にロシアへその地域を譲渡することは求められない。

 こうした起案の経歴を持つケロッグをウクライナ問題での特使に任命したことから、トランプがそれに沿った交渉をロシアと行うことを承認したと見ても不自然ではない。

 ケロッグは2月1日のFOXニュースのインタビューで、数か月以内にウクライナ紛争の決着を付けるべく動いていることを認め、同日の通信社からのインタビューでは、停戦後のウクライナ大統領選の必要性についても触れている。

 いずれもウクライナ・メディアの報道内容を追認するかのような話だ。

 では、ロシアはどう反応しているのか。