日枝体制は、なぜこの機に幕引きがベターなのか

 上記の復興プランのような話で発破をかけてみても、「改革じみた事は、日枝派に潰されるから無理」と受け流される。「職場のどこに日枝派がいるのか見えなくて、誰と話すと密告され飛ばされるのかわからない」「忠誠を誓うと、ご褒美がすごいらしい」といった都市伝説じみた話に縛られている人もいる。

 まさか、そんな恐怖政治は幻想だろう。だが、そういう幻想によって萎縮効果が生まれていること自体は、現実だ。それが自浄能力の発揮を妨げる一因になっているのだとしたら、やはりこの機会にご退場を検討していただく方が、会社のためのように思える。

——この原稿を書いている最中に、埼玉の道路陥没のニュースが入ってきた。穴は、ジワジワ拡大していく。表面上いつも通りに見える周囲のアスファルト部分も、実は中が巨大な空洞になっていて、陥落寸前かもしれない。なんだか、フジテレビ問題とオーバーラップして見えてしまった。

下村 健一(しもむら・けんいち)氏 TBS報道局アナウンサーを15年務めた後、フリーキャスター10年。NPO「リカバリーサポートセンター」理事として、教材動画「性暴力被害に遭った人への急性期看護ケア」等の制作に参画。その後、内閣広報室審議官として、民主党・自民党の3政権にまたがり政府の情報発信の“伝わる化”に従事するも、3・11に遭遇、苦闘。東京大学客員助教授、慶應義塾大学特別招聘教授、関西大学特任教授などを経て、現在は白鴎大学特任教授。「令和メディア研究所」主宰として、小学教科書の執筆から企業研修まで、幅広い年代のメディアリテラシー教育に携わる。(写真:ATZSHI HIRATZKA)