ネットに押されてジリ貧のテレビ界にあって、現在のフジは、スポンサーがいなくなったことを逆手にとって開き直って《今しかできない冒険的番組》に挑める(挑むしかない)起死回生のチャンス到来ではないか。

 冷笑を恐れずに言い放つが、例えばまだスポンサーが戻らないこの4月から6月までの3カ月短期集中で、兵庫県知事選ショックを踏まえた7月の参院選に向けての画期的選挙番組にチャレンジしてみるとか。ユーチューバーたちが太刀打ちできない現有リソースを活かしまくった、超低予算番組を作ってみせるとか。

 ほとぼりが冷めて少しずつスポンサーが戻ってきて、(元通りの水準までは 無理だとしても)また無難なつまらぬ枠内にちんまり帰って行く前に、何か突破口を見つけてほしい。

「女性のため」は、事実か口実か

 記者会見でフジ幹部たちは、事件を認識してからずっと伏せてきたのは、当事者女性のプライバシー保護のためだったという趣旨の説明をした。

 確かに、性的トラブルで被害を受けた人が、いずれ職場復帰するために問題の表面化を望まないことは、あり得るだろう。本人の意向が明示されていない場合でも、周囲で相談に乗る人たち(親友とか、直属の上司とか)が、医療専門家などごく一部のチーム内に話を留めて表面化しないように行動することは、往々にしてある。この部分の真相は、文字でのやり取り記録がかなり残っているだろうから、いずれ明らかになってこよう。

 もちろん今回の場合、表面化しないことで守られるのは当事者女性ご本人だけではなく、中居氏もフジテレビも守られる。だからと言って、「実は一番守りたかったのは当事者女性ではなく会社だろう!」などと“何が一番かの勘ぐり合い”をしても仕方ない。