唯一問題になるのは、ご本人が強く公開を望んでいたのに周囲が口止めしたというケースだ。今のところそれを疑う展開にはなっていないと私は見るが、何も即断しないで3月の第三者調査委員会の調査結果を待とう。

 一方、事件認識後も中居氏を番組に起用し続けた理由についても、フジ側は会見で「当事者女性に刺激を与えないため」といった趣旨の説明をした。これは、かなり無理がないか?

 会社の都合で中居氏を続投させていたのに、その口実に「女性のためを思って」を悪用しているようにしか、私には聞こえなかった。だとしたら、タチが悪い。ここも第三者委員会の結果で注目したい部分だ。

取り巻きの持ち上げによって“権力の過大視”が起きる

「全てのことを日枝が決めているというふうに言われるが、実はそんなことは本当にない」

 フジテレビの遠藤龍之介副会長は、そう言った。そりゃそうだろう。だが実際の権力以上に、取り巻きの持ち上げによる“権力の過大視”そのものが権力の効き目を過大にしてしまうということはある。

 実際、今回の騒ぎが起きて以降、現場の一線からかなりの上層まで複数のフジ社員と話してみると、日枝体制を「ただ意識している」程度の人から、ビビり方や諦め方が尋常でない人までいる。