増えすぎた大学の「店じまい」が必要

飯田:そうした側面も無視できないと思います。元を正せば、進学率の上昇といわゆる「団塊ジュニア世代」の大学進学年齢到達が重なった80年代後半から90年代にかけて、大学の数が急激に増えたことに原因があるのです。

 少子化がもう止まらない以上、これからはいかに増えすぎた大学を店じまいしていくか、そのロードマップを提示していく必要があるでしょう。具体的には大学間の吸収合併や大学で働く労働者の転職支援などを充実させることが重要です。

──とはいえ、親世代は手取りが増えず、教育費も高騰している中で大学の授業料を捻出するのも一苦労というのが現実です。

飯田:大学の「授業料」が高騰しているのか、大学に入学するまでの塾にかかる費用が高騰しているのかは分けて考える必要があります。塾・予備校費用をかけることが大学進学とどの程度関係しているのか私はわかりません。広い意味での「教育費」の高騰と大学授業料問題は対応策の異なる問題だと思います。

 今回いただいたテーマである大学授業料問題にとって重要な施策は奨学金の改革でしょう。なかでも「教育ローン」と陰口をたたかれることの多い、「貸与型」奨学金は重要な役割を持ちます。