復路も2人の選手を変更

東洋大は往路でマックスとなる4人の選手を交替したが、復路でも2人の選手を投入。今大会唯一となる“フル交替”を実施した。6区のリザーブだった内堀勇(1年)を7区、アンカーの起用プランもあった網本佳悟(3年)を8区に起用したのだ。
「内堀は大腿骨疲労骨折のため 11月は練習ができておらず、当初は起用予定がありませんでした。6区のリザーブとして芦ノ湖に宿泊をしていたので、そこから小田原中継所まで移動したくらいです。8区は永吉恭理(4年)を2年連続で登録していましたが、網本の調子が上がってきたので7、8、10区のどこかで起用しようと考えていました」
復路は6区の西村真周(3年)が8位の立大に3秒差まで接近するも、7区の内堀が12位に転落した。しかし、8区の網本が区間2位と踏ん張り、9位に押し戻す。そして9区の吉田周(4年)で8位に浮上した。
「6区の西村は3回目の山下りなので、あと30秒ほどタイムを縮めてほしかったですね。7区の内堀は区間順位(12位)こそ良くありませんが、スタミナ面で不安があったなかでよく頑張ってくれました。8区の網本は遊行寺の上りで帝京大との差を広げるなどイメージ通りの走りで期待に応えてくれたと思います。前回9区2位の吉田には『区間賞を狙おう』と話して、少し気負わせてしまったのは反省です。それでもラスト3kmで追い上げて、帝京大を抜き返して、5秒差をつけてくれた。この5秒がアンカーの薄根にとっては大きかったと思います」
鶴見中継所のタスキリレーは東洋大が8位で、帝京大が9位、順大が10位。東洋大と11位の東京国際大は31秒差しかなかった。この4校が壮絶なシード権争いを繰り広げることになる。
集団に明確な動きがあったのは22km付近。東京国際・大村良紀(3年)がスパートすると、東洋大・薄根大河(2年)と帝京大・小林咲冴(1年)が競り合い、順大・古川達也(2年)が少し遅れる。大手町のゴールは8位が東京国際大、1秒遅れで9位の東洋大、さらに2秒遅れで10位の帝京大。順大はシード権に7秒届かなかった。
ラスト1kmちょっとの争いが注目を浴びたが、その前にレースを動かしていたのが薄根だった。
「理想は最初の5kmである程度ペースを作り、そのまま逃げ切って、前の創価大が見える位置まで到達することでした。最初の1kmを2分50秒切りのペースで入らせたんですけど、薄根はかなり後ろを気にしていましたね。30秒ほどあった差がわずか3kmで縮まり、本人も驚いたと思います。あそこまで集団でレースが進むと、最後まで力を温存する方が有利です。しかし、薄根はラストスパートが得意ではありません。馬場先門(約20km地点)での声がけは私が最初に行い、『どこかでスパートを仕掛けないといけない。行くしかないぞ!』と伝えました。その声に薄根はすぐ反応して、スッと前に出たら、帝京大・小林選手も続いてスピードを上げていきました。ゆっくりしたペースで進み、ラスト1kmの勝負になったら難しかったと思います。うまくロングスパートにつなげることができて良かったです」