ユーフォリアから目覚めるきっかけに
ドル安・円高になれば、日本企業の株価は輸出関連株を中心に業績悪化懸念から一時的に下落するでしょう。しかし、これまでのような過度な円安は日本経済にとって好ましくなく、1ドル=120円程度の為替水準にまで円高が進むのが望ましいと、私は考えています。
その結果、
今回のディープシーク・ショックがこうしたマーケットの調整を前倒しさせることになるのかは、まだわかりません。ですが、これまで市場を覆っていたユーフォリアから、多くの投資家を目覚めさせるきっかけにはなったのではないでしょうか。
日本経済新聞によると、年初の1月6〜15日の7営業日で、新NISA対象ファンドに推計で1兆2000億円を超える資金が流入したそうです。実に、前年同期の2倍以上。周囲からは、「どうせ上がるんだから、積み立てなんかせず、年初にどかっと突っ込んだ方がもうかる」といった声が聞こえてきます。それこそ、「長期・積立・分散」という資産運用の鉄則を無視したユーフォリアですよね。
マーケットは、いつ何が起こるかわかりません。読者の皆さんには、浮かれることなく、動揺することもなく、冷静に、地道に、積立投資に励んでいただきたいと思います。
※投資の最終決定は各自の責任でお願いいたします。

1987年、明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任し、 2023年6月に退任。9月1日、なかのアセットマネジメント設立。全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。近著に『新NISAはこの9本から選びなさい』『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(写真:村田和聡)