「関係人口」1827万人の潜在力
Uターン・Iターン・Jターンなど、地方移住そのものへの関心はコロナ禍を経て、ますます高まっています。
コロナ禍に伴う生活意識・行動の変化に関する内閣府の調査によると、地方移住に関心を持つ首都圏に住む20代は、2023年3月時点で44.8%に達しました。およそ2人に1人という高い割合です。
他方で「仕事や収入に懸念」を持つ人の割合も半数に上りました。平均像は「地方の暮らしにも関心はあるが、都会での仕事や収入は捨てられない」というところでしょうか。都市部での仕事も維持する二拠点生活は、そうした人々にもアピールできると見られています。
政府が力を入れていくのは、まず「関係人口」の増加です。関係人口とは、移住した「定住人口」や、観光に来た「交流人口」、そして単なる帰省でもなく、日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人々を指します。
国土交通省が2021年に公表した関係人口の実態把握調査によると、全国の18歳以上の居住者およそ1億615万人のうち、2割弱・1827万人が特定の地域を訪問している「関係人口」でした。帰省や観光以外の大規模な人口の流動が、全国規模で確認されたのです。
このうち、三大都市圏の関係人口は861万人(18.4%)に達しました。一方、他地域の傾向を見ると、関係人口の多い地域ほど三大都市圏からの転入超過が多いことも判明しています。
こうした状況のもと、政府は、二地域居住に関心を持っている人を対象にした施策を手掛ける自治体を全面支援します。具体的には、自治体が①二拠点希望者に対する相談窓口の設置や魅力発信、②仕事場として使う共同作業スペースや居住体験施設を整備、③住居用に古民家や空き家などを改修―といった事業に取り組む場合、経費の半額を特別交付税で手当てします。
さらに、実際に地方に居住拠点を構えた人をサポートする自治体も支援。地方で副業や兼業を希望する人に対しても、企業紹介やお試し就業といった豊富なプログラムで支援します。