「ファイトマネーは別」でサウジから30億円
米専門誌「ザ・リング」の全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で2年半以上にわたり、1位もしくは2位に位置する井上選手にとって、飽和状態に達しつつあるファンの期待値に対し、海外でのビッグマッチ実現は、ボクサーとしての価値をさらに高める可能性を秘める。
米ラスベガスへの再上陸は21年6月以来だが、コロナ禍だった当時とは全く違う注目度を集めるとみられ、実際に収容人数の多いアリーナクラスでのメインを務めることが確実とされる。
さらに、モンスターに熱い視線を注ぐのが、巨額のオイルマネーを背景にエンターテインメント産業を加速化させるサウジアラビアだ。
昨年11月、「リヤド・シーズン」と巨額な30億円のスポンサー契約を結んだ。このときは現地を訪れ、トゥルキ・アラルシク長官と会談。 ボクシングマニアとしても知られる同氏からは、現地での試合を熱望された。
19年にサウジアラビア娯楽庁が立ち上げた国営のグローバル・エンターテインメント・プロジェクトの「リヤド・シーズン」は、スポーツやライブなどの多彩なイベントを通じ、国内外のエンターテインメント産業を活性化させるとともに、サウジアラビアを国際的な観光・エンターテインメントの中心地に位置づける狙いを持つ。

リヤド・シーズンは他のスポーツでは、サッカー界のスターであるクリスティアーノ・ロナウド選手やリオネル・メッシ選手、陸上界からもウサイン・ボルト氏らとのコラボレーションを実現させてきた。
ボクシング界においても、聖地・ラスベガスに匹敵する存在になりつつあり、東京新聞は「オイルマネーを背景に、米国や英国のプロモーターでは不可能と思われる夢のカードを実現させてきた」と影響力の大きさを紹介する。