田沼意次と組んで田安家の跡継ぎを次々と追い込んだ一橋治済
ところが、ドラマの終盤で事態が急変する。寝所で治察と思わしき人物が死亡。胸をかきむしった跡が残っていたこと、死亡する前に何者かが部屋から出ていったことから、毒殺されてしまったらしい。
一体、誰がやったのか。別の屋敷では、暗い部屋で操り人形を操作するも「おや、糸が切れたか」と、つまらなさそうにする生田斗真演じる一橋治済(ひとつばし・はるさだ)の姿があった。以上が今回の幕府パートの主な流れとなる。
一橋治済は一橋宗尹(むねただ)の四男で、治済も徳川吉宗の孫にあたる。13歳で一橋家の当主となった。16歳で迎えた正室との間には子が生まれなかったが、岩本正利の娘・お富の方との間に生まれた息子を、将軍にしたいと目論んだ。
だが、聡明で吉宗の孫と血筋も申し分がない賢丸が、10代将軍・徳川家治の跡継ぎ候補だったため、治済は田沼意次の協力を得て、賢丸を白川藩へ養子に出さざるを得ないように仕向けたと言われている。今回のドラマでは、意次がどのように動いたのかをストーリーに組み込んだことになる。
さらに、治済と意次は、田安家に残っていたほかの男子も、次々と大名家の養子に出すように働きかけた。その結果、もともと病弱だった田安家の当主が若死にしたときには、誰も継ぐ者がいないという状態にまで追い込んでいる。