平賀源内平賀源内(写真:近現代PL/アフロ)

 2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』では、江戸時代中期に数多くのクリエーターをプロデュースした蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)が主役に選ばれ、話題となっている。第2回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」では、客足が離れてピンチを迎えている吉原に客を呼ぶべく、重三郎は吉原の案内本「吉原細見」をリニューアルすることを思いつく。そこで今を時めくアイデアマンの平賀源内に序文を書いてもらおうとするが……。『なにかと人間くさい徳川将軍』など江戸時代の歴代将軍を解説した著作もある、偉人研究家の真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部)

>>【写真】エレキテルの発明で有名な平賀源内が序文を書いた『細見嗚呼御江戸』

重三郎の名が初めて記された『細見嗚呼御江戸』

 蔦屋重三郎については、それほど多くの史料が残っているわけではない。その名を確認できる出版物が『吉原細見(よしわらさいけん)』という吉原のガイドブックだ。

 今回の放送で説明されたように、吉原のガイドブックは年に2度発行されていた。重三郎の名が最も早く記されているのは、安永3(1774)年7月に刊行された『細見嗚呼御江戸(さいけんああおえど)』だ。第2回の放送タイトルには、その書名が使われている。『細見嗚呼御江戸』には下記のように記されている。

「此細見改おろし/小売取次仕候/新吉原五十間道左りかわ 蔦谷重三郎」

 出版元は鱗形屋(うろこがたや)だ。ドラマで片岡愛之助が演じる鱗形屋孫兵衛(うろこがたや・まごべえ)は、重三郎の師匠のような存在で、また同時にライバル的存在だったといってよいだろう。

『細見嗚呼御江戸』の序文は、エレキテルの発明で有名な平賀源内が書いている。その人選は重三郎が行ったものではないか、というのが今回のドラマでの設定となる。源内との交流があったかどうかはともかく、編集に携わった重三郎が主体的に動いた可能性は高そうだ。

 今回の放送では、「いかにして平賀源内に吉原細見の序文を書いてもらうのか」というプロジェクトに重三郎が挑むことになった。