名刀「膝丸」「髭切」が再会

「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」展示風景。右から、重要文化財《太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉)平安〜鎌倉時代・12〜14世紀 京都・北野天満宮蔵、重要文化財《太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)鎌倉時代・13世紀 ともに通期展示

 3つめの見どころとして清和源氏に代々継承された「兄弟刀」を挙げたい。平安時代中期に源満仲がつくらせたもので、大覚寺に所蔵される《太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)》と、京都・北野天満宮が所蔵する《太刀 銘 安綱(鬼切丸〈髭切〉)》の2刀が揃って展示されている。

《太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉)》は平家物語に付属する「剣巻」にて“名刀中の名刀”とうたわれている刀で、複数の呼び名を持つが、特に「膝丸」の名で知られている。源満仲が刀鍛冶につくらせ、試し切りとして罪人の首を斬り落としたところ、膝のあたりまで斬り下げたため「膝丸」と呼ばれるようになったという。「膝丸」は源満仲から、頼光、義家、義経へ、そして曾我兄弟の仇討ちを経て頼朝へと受け継がれている。

 もう一方の《太刀 銘 安綱(鬼切丸〈髭切〉)》は「髭切」の呼び名で有名。こちらは罪人の試し切りの際に髭まで見事に切り落としたため、「髭切」の名が付いたという。源満仲から頼朝に至る源氏の重宝であったが、鎌倉幕府滅亡により新田義貞が手に入れ、さらに義貞を討った斯波高経の手に渡り、その子孫の最上家が継承した。

「膝丸」と「髭切」。東京での同時展示は史上初とのこと。刀剣界を代表する兄弟刀の再会を喜びつつ、じっくりと鑑賞したい。

開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」
会期:開催中~2025年3月16日(日)
会場:東京国立博物館 平成館
開館時間:9:30~17:00 ※入場は閉場の30分前まで
休館日:月曜日(2月10日、24日は開館)、2月25日(火)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/daikakuji2025/