独裁者になりたい人間の典型的な行動

 20世紀の欧州全体主義の専門家である米エール大学のティモシー・スナイダーは、厚生長官や司法長官、国防長官、国家情報長官に指名された候補者を米国に対する「斬首作戦」と描写した。

 一つには、候補者の無能さと悪意が国の機能に重大な害を及ぼすからだ。

 また、法を含め、「内なる敵」に対して連邦政府を政治化する脅しが民主主義に甚大なダメージを与えるためでもある。

 レビツキーとジブラットは、これらすべては独裁者を目指す人間の典型的な行動だと話している。

 そうした行動は「審判の取り込み」と「プレーヤーの排除」という2つのくくりに大別される。

 前者には、司法制度のあらゆるレベルでのさらなる変更が含まれる。

 後者には、独立したメディア組織やジャーナリスト、学術機関、出版社に対する様々な攻撃が含まれる。

 これとは別に、不法移民を追放する目玉プロジェクトを思い出してほしい。この対策は新しいアプローチの多くの要素を一つにまとめることになりそうだ。

 何百万人もの人を国外追放するためには、巨大な軍事作戦と州政府や地方政府の管轄権の甚大な侵害、大規模な収容キャンプの創設、抗議活動の抑制が必要になる。

 そして何より、米国を追われた人々を押し付ける国を見つけなければならない。