世論が反トランプに転じる可能性
これらすべてが本当に起こり得るのか。あるかもしれない。
だが、このような大混乱が大きな経済的混乱となりそうな状況と重なれば、世論が強硬な反トランプに転じる可能性もある。
何しろトランプは大統領選挙でわずか1.5ポイントの票差で勝利したに過ぎず、これまでも特に人気だったことがない。
熱心な支持者がいる一方で、熱心な政敵も多い。
もっと言えば、合衆国憲法が守られるとすれば、トランプの任期は今期限りとなる。
総じてみると、世論と共和党に対するトランプの支配力はこの先、弱まっていく公算が大きい。
ポピュリスト(大衆迎合主義者)的な扇動家としてのトランプの能力はずば抜けており、共和党は2028年に十分なカリスマ性を備えた後継者を見つけるのが不可能なことを思い知らされる可能性が高い。
トランプを支える連合にも崩壊の兆しが見え始めている。
国家主義的なキリスト教信徒や排外主義者は、カネで権力を手に入れるイーロン・マスクのような「テック富豪」とは自然な同盟相手ではない。
そう考えると、トランプが独裁体制を推し進めようとすれば、それがついに行き過ぎとなり、一般市民からさえ大きな反発が起こることは確かに考えられる。
結局、一般市民はまだ独裁体制の直接的な影響を受けていない。
人々が運動を組織するには勇気が必要だ。
だが、今日の強権的で反動的な敵対勢力による攻撃を前にして、米国民がリベラルで啓蒙的な米国の伝統を軽々しく放棄しないことを期待しなければならない。
しかし、米国は今、真っ二つに割れ、多くの米国民がすでに自国の民主主義に対する信念を失っていることを世論調査が示している国だ。
この状況を正すことができなければ、民主主義そのものが崩壊するかもしれない。