アニメで高まるテレビ局の存在
アニメ放送の役割の大きさに比べて、実はこれまではアニメビジネスにおけるテレビ局の存在は必ずしも大きくはなかった。アニメ番組の放送は多いが、アニメ製作そのものへの出資はあまりせず、広告や放送枠の販売などリスクが少ない安定したビジネスが中心だった。言い換えれば、ライセンス展開を中心としたアニメビジネスが成長するなかで、この波に十分に乗れていなかった。
例外はテレビ東京で、『ポケットモンスター』や『NARUTO -ナルト-』、『遊戯王』といった子ども向けの人気作品に出資し、海外販売などで飛躍的に売り上げを伸ばした。これが成功モデルとなり、各局は放送外収入の切り札としてアニメに賭ける。
アニメの話題づくりに影響力のあるテレビ放送を活用できるのはテレビ局ならの強みだ。番組販売を通じて、昔から海外ビジネスのノウハウを持っている。
さらに配信がある。国内では外資系プラットフォームの活躍もあるが、U-NEXT、Hulu、AbemaTVといった国内系の配信プラットフォームも力は大きい。それらにTBS、日本テレビ、テレビ朝日はそれぞれ出資しており、大きな影響力を持つ。
広告付無料視聴で急成長するTVerも民放連合の共同出資会社である。アニメに限らず、ドラマ、バラエティ、スポーツと番組企画のノウハウ、制作者とのネットワークもあるテレビ局が、2025年以降アニメビジネスにどう関わっていくのかは見逃せない。