『THE FIRST SLAM DUNK』は中国で大ヒットした(写真:CFOTO/共同通信イメージズ)
  • 日本アニメの世界市場が急速に拡大している。2022年は10年前と比べて約2倍に成長し、その勢いは今のところ止まりそうにない。
  • 2023年は宮崎駿作品から『【推しの子】』まで日本のアニメが世界を席巻したほか、ネットフリックスでは『ONE PIECE』の実写版が話題を集めた。2024年もそうした勢いは続きそうだ。
  • だが、中長期的にはリスクもある。日本アニメに対する世界の需要が爆発する一方で、期待に応えるだけの人材が不足している。日本のアニメ産業が弱体化していく恐れもある。(JBpress)

(数土 直志:ジャーナリスト)

2023年、日本のアニメが世界を席巻

 世界における日本アニメの市場は、2兆9227億円――。

 2023年12月に一般社団法人日本動画協会が発表した2022年の市場規模だ。日本アニメ関連の国内と海外の消費金額を推計してまとめた。

 金額の大きさにも驚かされるが、2021年比で6.8%増と前年に続き史上最高を更新していることに注目したい。2010年代以降、着実に伸び続けており、2012年の1兆3395億円から10年間で2倍以上になっている。2023年のアニメ業界もこうしたトレンドが続いており、2024年も引き続き日本のアニメに追い風が吹くことが予想される。

 日本国内のアニメ市場も堅調だが、伸びが大きいのが日本以外の「海外」である。日本動画協会の調査では、2012年の海外市場は2408億円だったが、2022年は1兆4592億円と実に6倍に拡大した。

 日本のアニメは1970年代、80年代から海外で大きな人気を博してきた。90年代末には「ポケモン」や「ドラゴンボール」の大きなブームもあった。しかし、2010年代からの人気拡大はそれ以前とは比べものないほど大きい。まさに「世界が日本のアニメを求めている」状況で、需要は「爆発している」と言ってもいいだろう。

 2024年の話をする前に、まずは2023年の状況を振り返っておこう。