百度が深圳で自動運転レベル4タクシーの実証運用を開始
写真提供:新華社/共同通信イメージズ

 企業経営において、自社ビジネスの方向性が世界の潮流と一致していることは、価値創出に欠かせない前提と言える。とりわけ経営者は、こうした潮目を読む「感度」を貪欲に上げていく必要がある。本連載では『BCGが読む経営の論点2025』(ボストン コンサルティング グループ編/日経BP)から、内容の一部を抜粋・再編集。世界有数の戦略系コンサルティングファーム「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」のコンサルタントが提示する、2025年に重要となる10のマネジメント上の論点のうち「自動車」「物流」「アクティビスト」の3つのキーワードを軸に考察していく。

 前回に引き続き、第2回も「自動車」(Chapter2:滝澤琢・込山努著)をテーマに考える。「EVの普及」「自動運転の進展」の2つのトレンドから、2040年時点における自動車業界のシナリオを予測する。

シナリオプランニングの視点を持つ

BCGが読む経営の論点2025』(日経BP)

 ここまで見てきたように、市場の大転換をはじめ考慮すべきトレンドは複数ある。とはいえ、企業がこれらすべてを等しく考慮しつつ事業戦略を構築しようとしても、まずどこから手をつけてよいのかわからない、という事態になりかねない。そこで、多数あるトレンドを分析しながら自社が勝つ戦略を考えるうえでの進め方として、ここではシナリオプランニングのアプローチを紹介したい。

 中長期的な事業戦略を検討するにあたっては、シナリオプランニングは有効な手法だ。手法自体の解説はここでは割愛するが、自動車業界において、たとえば2030年に向けた中期戦略を検討するのであれば、2035~2040年の長期目線での環境変化を想定したうえで、そこからさかのぼって戦略を構築するアプローチが有効と考える。

 多くの企業が2030年前後を見据えた中期戦略を策定しているが、現在から2030年を予測すると、往々にして現状の延長線上で考えてしまいかねない。

 一方で、2035~2040年の変化を一つのシナリオでとらえようとすると、さまざまな可能性があって予測に確信が持てずに悩む企業が多い。だからこそ、シナリオプランニングで、どのようなことが起こりうるのか、いくつかの可能性を考えてみることが有効だろう。