一方、楽観的に見るなら「レベル4が一般向けの量販車種も含めて一気に進展」することも想定できる。その場合、完全自動運転のタクシーサービスの普及が広く進んでいるだろう。

 このように「EVの普及」「自動運転の進展」という2つの要素を考慮し、その掛け算で2040年の自動車業界の世界を導き出すと、以下の3つのシナリオが考えられる(図表2-4)。

①[中庸的なシナリオ] EVと内燃エンジン・ハイブリッド車が併存

 グローバル全体ではEVの普及が進み新車販売の過半数となるが、同時にガソリンおよびディーゼルなどの内燃エンジン車とハイブリッド車も併存しているのがこのシナリオだ。より具体的には、欧州・中国ではEVが市場の大半となり、さらに米国や日本でもEVが過半数となる。

 ただし、米国や日本では内燃エンジン車、ハイブリッド車がなくなるわけではなく、3~4割の比率で残り、市場規模としては十分なパイが残る(内訳としてはハイブリッド車が多くなるだろう)。

 また、新興国においては、EVの普及はある程度進むものの、国・地域によっては内燃エンジン車、ハイブリッド車が過半数残ることになる。

 同時に、前述したように市場全体の規模については、これまで成長を支えてきた成熟国は縮小または成長鈍化が始まり、新興国では成長するところもあるが、世界全体としては緩やかに縮小すると想定される。

 戦略を検討するうえで重要なことは、国・地域別の市場規模を見ると、縮小していくところ、横ばいのところ、成長するところ、がそれぞれあるということだ。企業にとっては、国・地域ごとの電動、内燃エンジンのばらつきだけでなく、市場規模の推移も踏まえた戦略構築が必要になる。