ネトフリなど薄れるグローバル配信会社の存在感
ひと昔前なら、ネットフリックスやウォルト・ディズニーといった世界的な配信プラットフォームを持つ企業の名前が挙がっただろう。豊富な資金を持ち、アニメファンを拡大してきた世界配信のインフラを握る。日本のアニメ業界が乗っ取られるのでないかといった脅威論すらあった。
しかし現在、グローバルプラットフォームの日本アニメのオリジナル企画に対する熱意は急速に冷めている。力を入れた自社向けの独占配信タイトルが思ったような視聴結果を出さなかったためだ。
日本アニメはいまでもよく視聴されている。だが、それは『ONE PIECE』や『NARUTO -ナルト-』、『進撃の巨人』といった、どこの配信サービスでも視聴可能な大型タイトルである。
独占タイトルの獲得に大金を投じるよりは、人気作品の配信権だけを獲得すればいいとの判断に傾く。結果として製作委員会が企画・製作の中心となり、これまでと同様に国内外に作品を販売する構造が続くことになる。
むしろ伏兵はテレビ局だ。配信視聴が増えるなかで、テレビ局の影響はかつてより落ちているとされるが、各局がアニメ事業投資を急拡大して反転攻勢にでていることはあまり知られていない。2023年暮れに日本テレビが100億円超でスタジオジブリを子会社化したのは最たるものだ。
各局が週末の夜11時を中心に相次いで新アニメ放送枠を設けているのも、戦略のひとつだ。『葬送のフリーレン』(日本テレビ)、『SPY×FAMILY』(テレビ東京)、『ババンババンバンバンパイア』(テレビ朝日)など人気アニメが登場している。今年4月からはフジテレビの『ONE PIECE』も金曜日夜11時台に放送枠を移動する。
共通するのはいずれも局が出資する戦略タイトルであることだ。視聴率よりも広い世代にアピールする時間の放送で作品の認知をあげて、2次展開につなげることが目的とみられる。