5.北朝鮮の極超音速ミサイルと日本の防空

 ロシアは、軌道を何度も変更できる中距離の極超音速滑空体を成功させてはいない。当然、ウクライナ戦争でも使用していない。

 北朝鮮が独自に何度も軌道を変更させ、落下する直前までマッハ10以上で飛翔するほどの撃墜されない滑空体を完成させることは、ほとんど不可能であろう。

 とはいえ、北朝鮮は近い将来、図2に描いたような飛翔軌道を1回変更することは可能となるだろう。

 さらに、今後も速度や飛翔軌道という点で、撃墜されにくいミサイルの完成を目指すだろう。

 そして、朝鮮半島有事の場合、飛翔軌道を変更できるミサイルが日本に向けられる可能性は十分にある。

 その時、日本は、北朝鮮が発射するミサイルを、撃ち漏らす場合が出てくる。

 また、戦争で実際に運用する場合には、各種ミサイルや自爆型無人機を多数発射して、飽和攻撃を行うことが予想される。

 現実に、ロシアは同時に100発以上を撃ち込む飽和攻撃を実施している。

 日本の政治家や国民は、北朝鮮が性能レベルを一段上げたミサイルに対応しなければならなくなったことをしっかりと認識すべきである。

 大都市に向かってくるミサイルを撃ち漏らし、当然国民に犠牲が出ると予想して、ミサイル防衛を考えなければならない。