叩きこまれた「勝利への3つのルール」

 80年代、ニューヨーク。ドナルド・トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブの最年少会員になる。クラブで食事をしていた彼はニクソン大統領をはじめとする大物顧客を抱え、数々の訴訟で無敗を誇る、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンから声をかけられる。

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 その頃、不動産会社トランプ・オーガニゼーションの社長であるドナルドの父親は「黒人の入居を拒んだ」と政府と全米黒人教会から訴えられていた。

「誰に部屋を貸そうと自由だ。反訴しろ」というロイにドナルドは弁護を頼もうとするが、父親からはけんもほろろに断られる。独裁者のような父は治安の悪いニューヨーク42丁目に高級ホテルを作るというドナルド肝いりの事業計画にも耳を貸そうとはしなかった。

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 今となっては考えられないが、初々しい20代のトランプは人の話を一生懸命、聞く若者であったようだ。逆にまだ何者でもない彼の相談に乗る者は少なく、自分を認めてくれるロイ・コーンを全面的に頼るようになる。信奉者のような無垢な青年に惚れ込み、ロイは自分の手の内を明かす。

 教え込まれたのは「ロイ・コーンの勝利への3つのルール」。

ルール1 とにかく攻撃しろ
ルール2 非を認めるな、全否定しろ
ルール3 どれだけ劣勢に立たされても勝利を主張しろ、決して負けを認めるな

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