スマホ・PCの見過ぎが不安感を増幅

【理由② テクノストレス】

 若手のメンタルヘルス不調が増加する2つ目の理由は、テクノストレスだ。

 若年層ほどスクリーンタイムが長く、その結果、脳疲労や眼精疲労を抱え、ストレス耐性が弱まっていることがわかった。スクリーンタイムとは、スマートフォンやPCなどの画面を見ている時間のことだ。

 スクリーンタイムが長いと、情報過多から集中力・記憶力が低下し、目の痛みや首・肩の凝りが出やすくなる。これが自律神経を乱し、無気力、不安、イライラなどのメンタル症状を引き起こす。

 20代では、休日に5時間以上のスクリーンタイムの人が約半数にのぼる。仕事の日より、休日のスクリーンタイムが長いのが20代の特徴だ。

 そして、スクリーンタイムが長い上位20%(週52時間、1日平均7.4時間以上)の若手は、下位20%と比べ、脳疲労や眼精疲労を1.5倍、メンタル症状(不安感)を1.6倍多く経験していた。

 このようなはっきりした傾向からは、仕事が原因と訴えるメンタルヘルス不調でも、スクリーンタイムの長さが水面下で影響している可能性がうかがえる。

※「ときどきある/常にある」または「しばしばあった/ほとんどあった」の回答率を集計
出所:パーソル総合研究所「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」より筆者作成
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 また、近年広がりを見せているテレワークも若手にとってメンタルヘルス上のリスクが大きいことがわかっている。テレワークでは会議などもオンラインのためスクリーンタイムが長くなりやすいが、それだけでない。若手ほどテレワークで孤独を感じやすいことが複数調査でわかっている*3。仕事経験が浅い若手は、周囲のサポートや対面交流からの学びを必要としている。

 テクノロジーに取り囲まれる生活へと変化する中で、若手自身がスクリーンタイムをセルフコントロールするとともに、職場としてもテクノストレスの啓発やテレワーク下の関係構築支援が重要となっている。