中古はエリアによって格差が広がる「三極化」が鮮明に

 中古住宅の価格はどうなるのか。こちらは基本的に売り主、買い主の相対で価格が決定される。地価動向や建築費動向などとは別に、需要と供給のバランスによって成約価格が決定され、相場が形成される。そのため不動産会社の思惑などが入り込む余地は少ない。

 中古住宅の価格相場は、都心部で高騰が続く一方、郊外部では早くも価格が頭打ちになり、エリアによっては下落傾向が見られるようになっている。大きく分けると、都心部、都心周辺部、郊外部の三極化が明確になりつつあり、2025年はそれがさらに鮮明になりそうだ。

 不動産情報サイト「マンションレビュー」の調査によると、【図表2】にあるように、東京の都心5区の70m2換算の中古マンション価格は軽く1億円を超え、前年同月比は31.0%の上昇率となっている。

 そんな高い利回りを確保できる安全性の高い投資商品はないだけに、富裕層を中心とする購入意欲は高く、都心部の中古マンション価格は2025年も上がり続けるのは間違いない。1年で1割、2割の上昇も十分にありそうだ。


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 しかし、都心部以外では状況が変わりつつある。

 城東エリア(台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区)の前年同月比は16.4%の上昇だが、城西(中野区、杉並区、練馬区)、城南(品川区、目黒区、大田区、世田谷区)、城北エリア(文京区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区)の前年同月比の上昇率は1桁台にとどまり、東京23区以外の都下はマイナス3.4%となっている。

 東京23区に次いで価格の高い神奈川県エリアの横浜市や川崎市は、都心以外の東京23区並みの1桁台の上昇だが、埼玉主要エリアのさいたま市・川口市や千葉県市川市・船橋市・浦安市の千葉主要エリアは、都下と同様にマイナス3%台だ。

 つまり、中古住宅価格は、都心部、都心周辺部、郊外部の三極化しており、2025年もその傾向が続くだろう。

 都心部は2024年ほどではないにしても、前年比で1~2割程度の上昇が続き、都心周辺部では上昇に歯止めがかかり、横ばいから一部エリアでは下落が始まる。そして、郊外部ではいよいよ本格的な下落が始まる可能性が高い。急激な下落にはならないまでも、人気のないエリアでは大幅な下落が起こり得るので注目しておきたい。