補助金や税制など「住宅取得支援策」の動向は?
金利上昇の影響が懸念される中、明るい話題もある。2024年度の補正予算において、「子育てグリーン住宅支援事業」が創設され、1戸当たり160万円の補助金が出るようになったのだ。
対象となるのは、“GX志向型住宅”。GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略で、温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電、風力発電などのクリーンエネルギー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組みを指す。子育てグリーン住宅支援事業は、それを促進するための住宅取得支援制度ということだ。
具体的には、断熱等性能等級6以上など高い断熱性能が求められる住宅が対象で、その条件を満たす物件を取得する場合、1戸当たり160万円の補助金が出るようになる。
18歳未満の子どもがいる子育て世帯、夫婦どちらかの年齢が39歳以下の若者夫婦世帯であれば、GX志向型でなくても、長期優良住宅や断熱等性能等級5および一次エネルギー消費量等級6の基準を満たすZEH水準住宅を取得する場合、80万円から60万円の補助金が支給される(【図表4】参照)。
さらに、2024年入居までだった住宅ローン減税制度が2025年入居にも継続して適用される可能性が高くなっている。2025年度の税制改正が成立することが前提で、少数与党の政局不安もあるが、消費者にとってプラスになる制度なので、おそらく無事成立することになるだろう。
そうなれば、子育て世帯などが長期優良住宅等の認定住宅を取得する場合、ローン減税の対象は借入限度額5000万円、控除率0.7%、控除期間13年なので、「5000万円×0.007(0.7%)×13(年)」で、最大控除額は455万円となる。
子育て世帯以外は長期優良住宅であっても借入限度額の上限が4500万円なので、「4500万円×0.007(0.7%)×13(年)」で最大409万5000円だ。
エリアによっては住宅価格が上がり、変動型を中心に住宅ローン金利も上昇する可能性が高いとはいえ、2025年は住宅取得支援制度を上手に活用して、マイホームを取得するチャンスをうかがってみてはどうだろうか。
【山下和之(やました・かずゆき)】
住宅ジャーナリスト。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材、原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入絶対成功させる完全ガイド2022─2023』(講談社ムック)などの著書がある。