「アップルカー」は幻となった

 アンドロイド・オートの発表は、独アウディ、米ゼネラル・モーターズ(GM)、そしてホンダの3社が同時にプレスリリースを出す形をとった。これら3社がアンドロイド・オートを先行して導入することを宣言したのだ。

 このうち、アウディはCES2014で米NVIDIAと共同記者会見を開いた。会見直後、NVIDIAの創業者でCEOのジェンスン・フアン氏と簡単な意見交換をしたが、その際「このビジネス領域は近年中に急速に拡大するのは間違いない」と言い切ったことが印象的だった。
 
 さて、この会見で最も興味深かったのは、「グーグルはスマホと車載器の連携だけではなく、車載OS(いまで言うビークルOS)についても市場拡大を狙う」という点だった。

 この時点で、グーグルのビークルOSに対する解釈は、インフォメーションとエンターテインメントと融合したインフォテインメントの領域に限定するというものだった。

 だが、2010年代後半になると、グーグルは各種カンファレンスの場で、アンドロイドのビークルOSをクルマの「走る・曲がる・止まる」や自動運転技術に適用させるという将来構想を説明するようになる。

 これと同時期に、いわゆる「アップルカー」に関する噂がグローバルに広まった。「プロジェクト・タイタン」と称する社内プロジェクトによって、EVや自動運転に関する基礎技術と量産技術の検証が進んだとされている。
 
 だが、アップルカーのプロジェクトは事実上、立ち消えとなり、またグーグルによる次世代ビークルOS戦略についても大きな動きが見られない状況だ。

 話を2025年に戻そう。