アップルとグーグルが「クルマのスマホ化」を牽引
時計の針を少し戻すと、アメリカのシリコンバレー界隈で2011〜2012年頃から、スマホとクルマのシステム(車載器)の間でデータをやり取りするという発想について水面下の検討が始まっていた。
当時、筆者は日米欧各メーカーの本社及びシリコンバレーで、こうしたビジネス領域に関する取材や意見交換を頻繁に行うようになった。
その中で、ホンダについては取材案件として記事化しているので、本稿でも当時の模様を一部紹介する。
まず、ホンダから米アップルと米グーグル(現アルファベット)に対して、スマホと車載器のデータ連携について話を持ちかけたが、良い反応はなかったという。
ところが、2013年6月に事態は一変する。
アップルが毎年恒例としていたWWDC(ワールド・ワイド・デベロッパーズ・カンファレンス)で、「iOS in the Car」(のちのアップル・カープレイ)を公開したのだ。
この時期を境に、ホンダだけではなく、自動車メーカー各社とアップルとの交渉は活発化した。さらに、グーグルからも自動車メーカー各社に対して積極的なアプローチが始まり、「アンドロイド・オート」の誕生へとつながっていく。