金利上昇、株安に見舞われたトランプ氏はどう動く

 Baa格の社債利回りは今、6%近辺まで上昇しており、今後は起債の集中で社債金利はさらに上昇するでしょう。先に見たとおり、市中の余剰資金は枯渇しつつあり、企業は手持ちの株式を売却し、金利上昇でコストが上昇した社債の借り換えに対処しなければならないのです。

 FRBの再三にわたる利下げにもかかわらず、長期金利は上昇の一途をたどっています。その要因の一つは、この2025年上半期から本格化する「債務満期の壁」によるキャッシュフローの逼迫だと考えられます。

 かくしてトランプ次期大統領は就任早々、金利上昇と株安に直面するのではないでしょうか。もっとも、トランプ氏のことです、経済混乱の責任は前政権にあると非難し、「だからこそ行政機構の簡素化と関税の引き上げが必要だ!」などと強弁して、自らの政策を強引に推し進めようとするでしょう。

 一方でFRBに圧力をかけ、量的緩和策(QE)を再開させることで、金利の低下を図るのではないでしょうか。

 それによって株価は一時的にはV字で急騰する局面もありそうです。しかし、その効果は長続きしません。せいぜい半年程度でしょうか。その後はインフレと景気悪化が同時に進行するスタグフレーション化が止まらなくなり、トランプ氏が心配する恐慌にはならないまでも、株価は年末に向けてじり安となるように思います。

※本稿は筆者個人の見解です。実際の投資に関しては、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。

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