野球のすそ野を広げるために導入された「育成ドラフト」だが…

 野球のすそ野が減退するのを食い止めるべく、2005年、西武やダイエーのスター選手だった石毛宏典氏が四国に「独立リーグ」を創設した。また企業チームが廃部になった後、一部の選手はクラブチームを作り、企業の支援を受けつつ社会人野球に参加している。

2005年発足当時の独立リーグ、四国アイランドリーグ。芝生の外野席にはかろうじて2人の観客の姿が見える(筆者撮影)
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 さらにNPBが「育成ドラフト」で、支配下以外の選手を入団させるようになったのも「野球のすそ野を維持する」目的があった。

 今年、NPBには入らないが、NPBの二軍戦に「参加(加盟、参入ではない)」するファームチームが2つ誕生した。くふうハヤテ静岡ベンチャーズとオイシックス新潟アルビレックスだ。

プロ野球中日二軍の本拠地ナゴヤ球場(筆者撮影)
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 社会人、プロ野球が「重層化」した背景には「社会人野球の衰退」があった。

 では、これらのカテゴリーでプレーする選手のステイタスや意識は、どのようなものなのか?

 筆者は2005年の設立以来、独立リーグの四国アイランドリーグの取材を続けている。独立リーグの監督やコーチには、NPB出身の指導者がなることになっているが、その一人がしみじみと話したことがある。

「NPBにいるときは、当たり前だと思っていたけど、プロ野球で活躍する選手はみんな『天才』なんだな。独立リーグに来て、本当にそう思ったよ」