最後は燃料切れと操縦不能で墜落か

 だが、パイロットたちがなんとか機をアクタウ空港に向けて着陸しようと懸命に努力する姿が目に浮かぶ。

 当時、不運なことに、アクタウ空港の天候が悪く、視界約3キロメートルと遠くから視認できる状態ではなかった。それが理由かどうかわからないものの、機は空港を確認しようとしたのか、旋回を繰り返している。そして最後は空港の南西側から右旋回しながら落下していった。

 墜落前に少し機首が上がっているが、それは残されたバッテリーによってスタビライザー(水平安定板)を操作できたものと想像する。ちなみにエンブラエル機は、御巣鷹の尾根(群馬県)に墜落したJAL123便事故のように全ての油圧を失った場合も想定して、機の上下動を可能にするスタビライザーを電動にする設計となっている。

 しかし最後は右へ傾き、機首も十分に上がらずに空港の手前約3キロメートル地点にノーズ(頭)から先に接触する形で墜落している。

 機体後部が炎上していないのは燃料がなかったからで、結果的に後部の乗客が救助されたことにつながったのだろう。

 今回の事故(あるいは事件)について、カザフスタンとアゼルバイジャン両政府は、フライトレコーダーの分析などによって原因を究明すると表明している。