カナダは第51州、メキシコに軍派遣の用意

 トランプ氏は「パナマ運河奪還」「グリーンランド買収」に加えて、「カナダ併合」「メキシコ侵略」まで口にしている。

 4件に共通しているのは「中国の脅威」である。

 カナダについて言えば、カナダは文化、言語などで米国とは表裏一体。

 カナダ人にとってハリウッド映画はまさに自国の文化、MLBにはカナダのチームが2つ。そのカナダで生産した中国製品が安い関税で入ってくる(これはカナダ生産の日本製品も同じだが)。

 カナダから入ってくる製品を中国並みの25%にするというトランプ氏の案もあながち法外な話ではない。

 それが嫌なら「第51州」になりなさい、という「ご忠言」も分からぬわけではない。

 メキシコもそうだ。

 米国内で、フェンタニル(合成麻薬)で死ぬ人は年間7万人。18歳から49歳までに死亡する人のトップは麻薬が原因だ。

 その原料を中国はメキシコに輸出、メキシコのCJNG、シナロア・カルテルといったギャング組織がフェンタニルを製造し、密輸しているのだ。

 その事実がはっきりしているのに、中国、メキシコ両政府は、口約束はするが改善されていない。

reuters.com/special-report/drugs-fentanyl-brokers/

 トランプ氏は、それならば米軍を派遣するか、ドローン攻撃でギャングのフェンタニル製造拠点を壊滅させるぞ、と脅しをかけている。

 狙いは、ここでも中国なのである。

 メキシコのクラウディア・シエンバウム大統領は「まるで映画のようなアイデアだわ」とは言ったものの、具体的な対応に苦慮している。

巨大化したメキシコのギャング組織はメキシコ国軍より強い。手に負えないのだ)

 オンラインメディアの「AXIOS」は、これからどうなるのか、こう論じている。

「国際秩序にはあまり関心のないトランプ氏は、同盟国やパートナーをただ面食らわせているだけなのか、あるいは米国の利益のために可能なら強硬手段に出るのか、誰も分からない」

axios.com/trump-buy-greenland-claim-panama-canal