意外にも実現性ある、トランプのパナマ運河奪還やグリーンランド購入
狙いはずばり米国の庭を荒らし始めた中国、習近平の一帯一路に照準
2024.12.29(日)
高濱 賛
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カナダは第51州、メキシコに軍派遣の用意
トランプ氏は「パナマ運河奪還」「グリーンランド買収」に加えて、「カナダ併合」「メキシコ侵略」まで口にしている。
4件に共通しているのは「中国の脅威」である。
カナダについて言えば、カナダは文化、言語などで米国とは表裏一体。
カナダ人にとってハリウッド映画はまさに自国の文化、MLBにはカナダのチームが2つ。そのカナダで生産した中国製品が安い関税で入ってくる(これはカナダ生産の日本製品も同じだが)。
カナダから入ってくる製品を中国並みの25%にするというトランプ氏の案もあながち法外な話ではない。
それが嫌なら「第51州」になりなさい、という「ご忠言」も分からぬわけではない。
メキシコもそうだ。
米国内で、フェンタニル(合成麻薬)で死ぬ人は年間7万人。18歳から49歳までに死亡する人のトップは麻薬が原因だ。
その原料を中国はメキシコに輸出、メキシコのCJNG、シナロア・カルテルといったギャング組織がフェンタニルを製造し、密輸しているのだ。
その事実がはっきりしているのに、中国、メキシコ両政府は、口約束はするが改善されていない。
(reuters.com/special-report/drugs-fentanyl-brokers/)
トランプ氏は、それならば米軍を派遣するか、ドローン攻撃でギャングのフェンタニル製造拠点を壊滅させるぞ、と脅しをかけている。
狙いは、ここでも中国なのである。
メキシコのクラウディア・シエンバウム大統領は「まるで映画のようなアイデアだわ」とは言ったものの、具体的な対応に苦慮している。
(巨大化したメキシコのギャング組織はメキシコ国軍より強い。手に負えないのだ)
オンラインメディアの「AXIOS」は、これからどうなるのか、こう論じている。
「国際秩序にはあまり関心のないトランプ氏は、同盟国やパートナーをただ面食らわせているだけなのか、あるいは米国の利益のために可能なら強硬手段に出るのか、誰も分からない」
(axios.com/trump-buy-greenland-claim-panama-canal)
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