多彩なデジタルアートに出会う

「動き出す浮世絵展 TOKYO」展示風景

「麗」エリアは喜多川歌麿や歌川国貞らが手がけた美人画がベース。作品の背景に描かれた花のある風景を拡張し、花見の舞台を作り上げた。その舞台を歩き、足を止め、花を見やる江戸の美人たち。現代のデジタル技術はすごいと、改めて感嘆させられる。

 だが、そんな最新のテクノロジーの中に、浮世絵がもつ江戸の情緒が残されているのが本展の特色といえよう。花見を楽しむ美人たちは、いい意味で平面的。和紙に刷られた錦絵ならではの質感があり、立体物を線で表現した浮世絵師たちの技巧を感じ取ることができる。

「動き出す浮世絵展 TOKYO」展示風景

「雅」は新しい表現を目指そうとする創作意欲が感じられるエリア。富士山のフォルムを模した立体スクリーンが設置され、その富士の山肌と背後に映像が投影される。朝焼けに染まる富士をはじめ、季節の花々、全国各地の名勝、花火などの風物詩……。日本が誇る「雅」な風景が次々に映し出され、時間が経つのも忘れて見入ってしまう。

「動き出す浮世絵展 TOKYO」展示風景

 老若男女を問わず、幅広い層が楽しめる展覧会。会場の一角には「輪投げ」や「占い浮世絵魚釣り」など遊具が並べられたコーナーも用意され、小さな子どもと一緒に訪れるのも楽しそう。浮世絵に詳しい人なら、映像を見ながら「この海に浮かんだ舟は、あの絵師のあの作品に出てくるものだ」などと元ネタ探しに挑んでみては。会場に展示されたすべての映像・画像は撮影が可能。各々の過ごし方で、浮世絵アートの世界へ没入したい。

 

「動き出す浮世絵展 TOKYO」
会期:開催中~2025年3月31日(月)
会場:寺田倉庫G1ビル
開館時間:9:30~20:00 ※入場は閉場の30分前まで
休館日:会期中休館日なし
お問い合わせ:動き出す浮世絵展 TOKYO 会場事務局 070-6432-7461 (開催期間中 9:30〜20:00)

https://www.ukiyoeimmersiveart.com/