薩摩スチューデントの使節団とその使命

 五代の上申書をベースに、薩摩スチューデントが結成された。総勢は19名であるが、厳密に言うと、使節4名と留学生15名に大別される。使節一行の4名を紹介しておこう。正使の新納久脩(大目付、全権)、寺島宗則(船奉行、政治外交担当)、五代友厚(船奉行副役、産業貿易担当)、堀孝之(通弁、通訳担当)であった。また、町田久成は留学生であると同時に、督学という留学生全体を束ねるポジションにあった。

町田久成

 この使節の使命は、五代の上申書をベースに組み立てられたものであるが、以下の4点にまとめることができる。

①薩摩藩をはじめとする大名領にある港を外国に開き、そこで自由に交易できるように、イギリス政府に協力を求めること。

②富国策を実現するために、外国市場を調査し、薩摩藩として必要な製造用機械などを購入すること。

③強兵策を実現するために、必要な軍艦・武器などを調査・購入すること。

④将来に向けて、必要な西洋知識を受容するために留学生を同行させ、現地で諸々の手配をして監督すること

 五代は②③にあたる機械買い付けや商社設立などに奔走し、寺島は①にあたる外交交渉に心血を注ぎ、町田は④にあたる留学生全般を扱った。